専任技術者の要件を4つの例題でくわしく解説!

ここでは、専任技術者の要件を見ていきたいと思います。

当事務所で実際によくお伺いするパターンを会話形式でご紹介しますので、ご自身に当てはまる内容をご確認頂ければと思います。

行政書士行政書士

「専任技術者」の要件として、資格者か、実務経験者が必要となります。

希望業種に該当する資格はありますでしょうか。

また、10年以上の実務経験をお持ちでしょうか。

ご相談者A個人事業A

私は、とび・土工工事を個人で6年以上営んできました。

資格は、2級土木施工管理技士を持っています。

希望業種は土木一式工事、とび・土工工事、舗装工事の3つを取りたいと考えています。

ご相談者B法人役員B

私は、電気工事業を営む法人の役員をしています。

資格は、第2種電気工事士を持っています。

希望業種は電気工事業を取りたいと考えています。

ご相談者C個人事業C

私は、プラント工事会社の営業部長として勤めてきました。

資格は無いですが、10年以上の実務経験はあります。

今回、独立開業して個人で機械器具設置工事業を始めたいです。

ご相談者D法人役員D

私は、過去3年間は個人事業で建設業を営んできました。

その前は、5年間ほど建設会社の営業部長として勤めていましたが、資格は何も持っていません。

希望する業種は、建築一式工事業です。

行政書士行政書士

以上のように、各ご相談者の方々は、希望する業種も違い、資格要件も全く違います。

それでは、ご相談者別にどのような書類が必要となるか見ていきましょう。

専任技術者の証明方法

個人事業主 A様

この方の場合は、とび・土工工事業者で2級土木施工管理技士の資格をお待ちです。

問題は、とび・土工工事業者が資格を持っているだけで、3つの業種を取得できるかどうかになります。

A様は個人事業でとび・土工工事を6年以上営んでおりますので、2級土木施工管理技士の資格で取れる業種はすべて取得出来ます。

結論として土木一式工事業、とび・土工工事業、舗装工事業の3業種を取得できます。

この場合、以下の書類で証明できることとなります。

  • 2級土木施工管理技士の資格証

※1つの業種で6年以上の経営経験を証明できれば、持っている資格に対応する他の業種でも許可取得が可能です。

法人役員 B様

この方の場合は、希望業種が電気工事業です。また、資格が第2種電気工事士ですので、3年間の実務経験も証明する必要があります。

幸い、6年以上の経営経験がありますので、過去3年間の実務経験の証明も自社ですることが可能です。

このケースの場合は、以下の書類で証明できることとなります。

  • 第2種電気工事士の資格証
  • 過去3年分以上の工事注文書・請書または請求書
  • 健康保険証コピーと健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額決定通知書

※過去3年間の実務経験の証明は、電気工事士の資格取得後の期間計算になります。

※工事の注文書・請書または請求書は希望される業種が分かる内容で記載されていることが必要です。また、年間に3~5枚程度ご準備下さい。

※健康保険証コピー等は許可要件ではありませんが、現在の常勤性の確認も必要ですので、添付提出いたします。

個人事業主 C様

この方の場合は、資格はありませんがプラント工事会社で10年以上の実務経験があります。

勤めていた会社からの以下の書類で証明が可能です。

  • 勤務していた建設会社の過去10期分以上の確定申告書
  • 勤務していた建設会社の過去10年分以上の工事注文書・請書または請求書
  • 法人の印鑑証明書
  • 実務経験証明書
  • 年金記録回答票(会社での常勤確認のため)

※勤務していた会社が建設業許可業者だった場合は、決算変更届等で実務実績を証明することも可能です。

※円満退社でない場合、勤務していた会社の証明を貰えないケースもありますので、退職手続きは慎重に行って下さい。

法人役員 D様

この方の場合は、資格がありませんが、過去3年間は個人事業としての実務経験をご自身で証明可能です。

あと7年間の実務経験の証明が必要ですが、過去5年間の建設会社での実務経験を足しても2年間足りません。

条件付きとなってしまいますが、大学指定学科卒業後3年以上の実務経験があるか、高校指定学科卒業後5年以上の実務経験があれば、実務経験として認められます。

つまり、通常10年の実務経験が必要ですが、3年または5年に短縮されることになります。

この場合、以下の書類で実務経験を証明します。

<大学指定学科卒業の場合>

  • 大学卒業の証明書又は卒業証書
  • 過去3年分以上の個人事業の工事注文書・請書または請求書
  • 過去3期分の個人事業の確定申告書
  • 実務経験証明書

<高校指定学科卒業の場合>

  • 高校卒業の証明書又は卒業証書
  • 勤務していた建設会社の過去5年分以上の工事注文書・請書または請求書
  • 勤務していた建設会社の過去5期分の確定申告書
  • 法人の印鑑証明書
  • 実務経験証明書
  • 年金記録回答票(会社での常勤確認のため)

※勤務していた会社が建設業許可業者だった場合は、建設業許可申請書、決算変更届等で経営実績を証明できます。

※卒業証明書は発行後3か月間しか有効期間がありませんので、ご注意下さい。

まとめ

以上の4名のご相談者につきまして、要件と必要書類を見てきました。

弊所の経験上、このパターンの組み合わせでのご相談が最も多いため、要件確認して頂く際の参考になりやすいのではないかと思います。

専任技術者は、営業所ごとに1名以上の配置が必要とされますので、複数の営業所で請負契約、入札等の受注業務が行われるのであれば、その営業所ごとに必要となります。

同一都道府県内に複数の営業所がある場合は、知事許可となりますが、他の都道府県に営業所を設置する場合は、大臣許可となりますので、注意が必要です。

また、特定建設業を取得される場合は資格要件が変わりますので、その場合は是非ご相談頂ければと思います。

最後に、一般建設業と特定建設業での専任技術者の要件をまとめておりますので、ご確認頂ければと思います。

<一般の場合>
次の①~③の何れかに該当しなければなりません
要件①大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)指定学科卒業後、許可を受けようとする業種について3年以上、高校(旧実業高校を含む)の場合、指定学科卒業後5年以上の実務経験を有する者
要件②学歴・資格の有無を問わず、許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験を有する者
要件③許可を受けようとする業種に関して技術者の資格区分表にある資格を有する者。その他、大臣が個別に申請に基づき認めた者
<特定の場合>
次の①~④の何れかに該当しなければなりません
要件①許可を受けようとする業種に関して、国土交通大臣が定めた試験に合格した者、または国土交通大臣が定めた免許を受けた者
要件②上記<一般>の建設業の要件①~③の何れかに該当し、かつ元請として4,500万円以上の工事(平成6年12月28日前にあっては3,000万円、さらに昭和59年10月①日前であっては1,500万円以上の工事)について2年以上指導監督的な実務経験を有する者
要件③国土交通大臣が、①②に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者
要件④指定建設業(土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、電気工事業、造園工事業の7業種)については、①または③に該当する者であること

※要件や書類について分からない場合は、初回無料でご相談頂けます。

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